相模原市議会議員として、基地対策特別委員会委員として、これまで米軍基地(キャンプ座間・相模原補給廠・相模原住宅)の一部返還を求めてまいりました。
ここでは私の活動地区である南区に関係の深い返還事案について解説します。
また、我が国日本の周辺における安全保障上のリスクが高まる中、基地返還を求める難しさ、その中でどのように活路を見出すべきかを述べます。
基地返還 地元の主要テーマは
現在、私を含む基地対策特別委員会が要望している返還地は先に述べた米軍基地全体でありますが、南区の住民生活に深くかかわるのは「キャンプ座間ゴルフ場外周路」、「相模台住宅の浄水場地区」です。ゴルフ場外周路がもし返還されると、相武台前の行幸道路と第7ゲートを行き来でき、「ミハタ前の狭い道路」を使う必要がなくなります。浄水場地区が返還されると国立病院の北側にある三差路を拡幅し、右折レーンの延長ができるため、当該地区の渋滞解消につながります。ゴルフ場外周路と浄水場地区は果たして在日米軍にとって「譲れない」土地なのでしょうか。この点は粘り強く米軍や防衛省、外務省に問うていくべきです。

「キャンプ座間ゴルフ場外周路」(赤点線)
第7ゲートと行幸道路を結ぶ。「ミハタスポーツ前の狭い道路」を経由せずに南北を移動できる。

「相模台住宅浄水場地区」(赤色部分)
返還されると、西側の三差路の拡幅、右折レーン延長が可能となり渋滞解消につながる。
決めるのは国家間協議レベル
しかし地元の声は必ず土台に
しかし、返還について実際に協議し、決定を下すのは国家間でのこと。先の2つの返還事案も平成18年に当時の防衛庁長官から市に対して「日米合同委員会の枠組みを活用して協議していく」ことが約束された事案であり、「日米合同委員会」(外務省北米局長と在日米軍司令部副司令官が2国間の代表)での合意がなければ返還は実現しません。
キャンプ座間にある在日米陸軍基地管理本部司令官に直接要望をしても、「声はしっかりと受け止めるが、決めるのは国家間の協議の場である」といつも返されてしまう。
そうした構造的難題を抱えながらも、しかし地元の声を発し続けていかなければ、日本政府も米軍も本気にさせることはできない。やはりその行動の継続が土台です。そして、声は相手方との良好な関係作りがなければ届きません。少しでも良い結果を皆様にご報告できるよう、今、様々な交流の機会をつくり、関係構築を図っています。

現実味を帯びる台湾戦争
そのとき在日米軍基地は
返還を求める立場でありながら、ジレンマを感ずるのは安全保障上、米国との連携が不可欠なことです。
習近平国家主席は2年前の党大会で「台湾は中国の台湾である。平和的統一のための努力をし続けるが、武力行使の放棄を約束することはなく、必要なあらゆる手段をとる選択肢を留保する」と発言。
もはや台湾戦争は差し迫った脅威なのは間違いありません。
中国が戦争を起こさないよう外交面はもとより、米国を中心とした西太平洋の軍事面での抑止力は不可欠です。台湾周辺事態に対する米軍による在日米軍基地の使用を認め、日米連携を図ることは論点として避けられません。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書では、中国人民解放軍の水陸両用艦部隊による台湾上陸の阻止が最重要任務となり、日本国内の米軍基地を拠点とした米海・空軍機の統合型空対艦スタンドオフミサイル(JASSM)の活用が鍵を握り、日本国内の米軍基地が使用できなければ、中国の台湾攻略の成功確率は格段に高まると指摘しています。また、米軍基地使用によって、基地が中国の長距離弾道ミサイルの標的となることをも指摘しており、そのため弾道ミサイル防衛システムも必要となります。
そして、ミサイル防衛システムの一翼は、キャンプ座間を指令塔とする在日米陸軍防空砲兵旅団が担っているのです。
このように、身近な在日米軍基地は台湾戦争という差し迫った脅威と密接不可分な役割を、否が応にも有しています。
基地を活用しなければ日本とその周辺の安全保障は守られないが、(一部でも)基地返還を求めることも責務である。そのジレンマ解消の糸口はどこにあるのでしょうか。“米国は、有事の際の日本の基地使用について日本が承認することについて、確証を得ていないこと”にあるかもしれません。今後も様々な要素を考慮にいれながら、責務を果たしてまいります。

CSIS報告書では、台湾戦争の際、
グアム基地では不十分で、日本の米軍基地使用が不可欠とされています。掲載図には三沢、岩国、佐世保、横田、横須賀、沖縄、座間の名も。
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